いや~今回はほんんんと、ブログに泣かされています(*_*)
2回連続フリーズで前回のはほとんど完成間近でアウトでした。。。
もっかいやりなおしでキツイですね。
さてさて、30日も濃厚な1日でございましたよ~。
まずはあいさつがわりにコレ!
ホテル隣のビル。太陽光パネルがずら~り。
この日は村上さんの同志。同じくらいにニッポンからドイツへ渡り
森林関連のお仕事をやっている池田憲昭さんの1日講義でした。
有名な“黒い森”ことシュバルツヴァルトへ行き、ドイツの林業産業を見て来ました。
実は黒い森ってドイツトウヒを中心にした針葉樹林が黒く見えるからという多くの解釈は
裏切られることを知りました。
実は、古代ローマ人がこの長野県3分の2くらいの巨大な森を抜けるのに
野蛮なゲルマン人がいるということで「こわい」⇒「暗黒」⇒「黒」となったようです。
ドイツ森林産業はニッポンのそれとは完全に異なり
利益の宝庫、資産のパラダイスなんですね!
例えば、酪農家。牛乳は値段が下がり過ぎてほとんど儲からないそうですが、
山を持っているので赤字分を林業で補うと言った具合です。
ニッポンでは信じられないでしょ!
でも、それはまぐれでも何でもなく、しっかりとした戦略に基づいたビジョンが確立され
実に見事に実行されているからなんですね。
森林管理の基本中の基本。間伐。
写真を見てもおひさまが実に良い感じでふりそそいでいますね。
ニッポンでは広葉樹はまっすぐなりにくく
どうしても育てずらいという認識になってますが、僕も全くその通りかなと。
ところがご覧あれ!ブナがこ~んなにまっすぐに育ってるじゃあ~りませんか!
池田さん曰く「広葉樹も日光の当て方をしっかり計算してやれば、まっすぐそだつんです。風やDNAの影響など心配しなくても良いんですよね」と。
このスペシャルな間伐を実現させるための重要な作業が林道整備です。
ドイツの林道はアスファルトやU字溝などなく、全て写真のように「屋根型」構造になっているんですね。
つまり、雨を自然な形で流し、浸透させ、時には滞留させすることにより道を崩さないでクルマの轍後もつけさせないので常に整備された林道状態にさせておくことが可能になるんですね。
しかも、費用も超安く出来てメリットだらけなんです。
ま、あんまりいいたくありませんが、ニッポンはそれをしないでガッツリやってしまう高い施工方法なので逆に林道が崩れたり整備が難しくなったりしているようですね。
ドイツではメートルあたり約7,000円で出来る整備がニッポンだとグレードにもよりますが一級林道で20万!2級でも5万から~20万位するそうなんですね。
わざわざ高くて意味のない林道をつくってどうするんだと、池田さんやドイツ森林官は再三指摘をして改善アドバイスも提示してるんですが、ニッポンの学者や色んなヒトは視察には来るがアラだけをさがして全く改善しようとする意思がないんですって。。。
なんだかな~もう。。。ですよね。この日はどれくらいこのセリフを言ったかわかりませんよ
で、これなんだと思います?
実はこのサイズが1.5立方くらいなんですが、1本の木が1年で育つ成長量なんですね。
1haで約300本くらい生えていてこれらの木々合計で450立方1年間に育つわけなんです。
さっき林業で稼ぐとはまさにこれで、1年間に1本がこの黄色の成長をする。
この黄色がマルマル“利子”というわけなんですね。
しかも銀行と違いよっぽどの自然災害が無ければ元本割れも無く、確実に成長という利子をつけてくれるんです。
毎年毎年定期的に安定的に伐採して木を売れば確実に利益が出るわけなんですね。
一般車は新入禁止。林道関係車両しか入れないため
子供たちの森林教育も安全に出来るわけなんです。こういうのもとてもユニークですよね。
頭を「ばかっ」と空けると説明文が!
こんなのが何本もアチコチに設置されています。
巨大エスカルゴVSなめくじの対決!!!
次に一行は地元の工務店さん(緑のポロシャツがしゃっちょさん)がつくった市の森林施設に向かいました。
こちらでも入札があり16社が応募し、この“ELXTAL HOLZHAUS”が二番目に安かったので受注したと。一番安かったのはドイツ東部の会社だったんですがミョーに安いのと地元じゃないので落とされたと。
金額は1億8千万円ほど。素晴らしいのは市の施設なんですが、ドイツの場合どこかの自然を壊して住宅地や何かをつくるときには、その奪われた分だけの自然をつくらなければなりません。出来ない場合はお金を基金に積む。この施設はリーデンブルクの開発時に積み立てられた資金も含まれているんですって。
すごいことに市からの入札建築条件の資料がCDで8枚分もあったそうです。ずっとこれまで見てきたとおり環境に関するコトコマカな指示がずらららら~と書いてあるんですね。
例えば、木に関してはドイツトウヒではなく、地域で取れる“もみの木”にこだわっています。木星のサッシももみの木で、しかも、地元の窓会社から採用されているンですね。
地元のサッシ会社っつても、色んなサイズや種類を製作出来ているので大したモンです!
施設内外にもおもしろいオブジェが満載↓↓↓
出た!国際森林年POP!!
次に工務店が新築をしている現場に連れてってもらいました。
今現在の最新法律の仕様ですので、ものっそいコトになってました!
現場には必ずこんなバカでかいクレーンがありますよね。これでジャンジャン釣り上げバシバシ施工して行きます。断熱材や構造材がハンパないんで、これくらいのクレーンがないと仕事にならないんでしょうね。。。
工法としては“マッシフ”と呼ばれる木質パネルと軸組みをMIXしたような感じですね。このマッシフが240mmあり、単なる集成材ではなく20mmくらいの無垢板12枚くらいをビスでバスン!と貫通させるんです。これが外周グルリにはりめぐらされ、間仕切りは45mm×140mmのスタッドに“ギプスプレート”と呼ばれる石こうボードの進化判みたいなのをサンドイッチしています。進化判と言ったのは、石こうの中に紙を混ぜて強度を上げ、750kgニュートンの荷重に耐えられるそうです。(ってこの数字を言われましても僕にはよくわかりませんがね、とにかく耐震強度が増すと)。
外張断熱材はオガクズの繊維で固めた断熱材100mm。
専用の丸のこで切ってますね。
繊維はこんな感じ⇒
屋根も45×180くらいの垂木にこの木質断熱をジカに貼ります。いわゆる野地板がないんですね。
詳細図面ですね。
各階床・天井には“エーシュリヒ”と言われる蓄熱層をつくります。これはコンクリート下地に特殊な砂利を敷き詰めそこに床暖用のパイプを通し、モルタルで塗りこめる。こうすることにより、昨日も見た蓄熱・畜冷効果を期待すると言う工法です。
あ、こっちの画像の方がわかりやすいですね。マッシフ240mm+外張断熱100mm。
四角い穴のところに何層にもなっているのがマッシフの断面ですね。
ドイツではほぼつくられる地下室。ここがボイラーや熱交換器の収容場所であり、物置であり、子供のお仕置き部屋?違うか^^
基礎断熱EPS100mmが打たれていますね。
基礎構造も3層になっていて水の浸入を受けた後に流せるような仕組みのようです。
そんなパッシブハウス仕様のこの家の年間暖房1次エネルギーは52kw/平米ということで、現在の法規60kwをクリアしてます。
それを聞いて「この仕様で少し性能が悪いな・・・」と思っていたら、暖房をヒートポンプの電気でやるので1次エネルギー換算で2.7倍くってしまうからと。
つまり、これを木質ペレットやその他エネルギー消費の少ないものでやれば20kw/平米くらいになると!納得!素晴らしい!!
一応、なんでそうしなかったのかと聞くと「予算がなかったから」。どこの国もその辺は同じか(^_^;)
更に勉強は続きます!
夕方からは近くの会議室を借りて、池田さんの“森林と木材産業”のレクチャー。
午前中にやったレクチャーのほかに仕組み的なお話でした。
ドイツの人気職業堂々第5位にランクインする“森林官”という公務員。理由は、通勤が無く森林近くの住宅から毎日森の中で仕事が出来ると言う、自然大好き男子にはたまらなく、また、独身の森林官が村に来ると女性は大喜びすると言われるくらい、収入も高くて安定しているので男女ともヒキコモゴモの理由で人気なんですね。
でも、当然競争は激しく、大学で森林の専門分野は当然のこと、物理・数学・語学・ありとあらゆる勉強をしてこないとなれません。
森林官のみならず、森で従事する仕事はやはり人気です。政府も森林管理は重要な仕事なのでバックアップ体制もきっちりとり、制服のデザインにも気を使い、Cool!と思わせるようなことまでやります。
ニッポンは真逆ですよね。。。
日独墺の森林比較
日本 | ドイツ | オーストリア | |
自然林 | 1,500万ha | 自然林・人工林区別なし | |
人工林 | 1,000万ha | 1,000万ha | 396万ha |
私有林 | 66% | 47% | 77% |
これを見ても、森林の量!ニッポンは恵まれてると思いませんか???
木材の価格は1万立米でドイツも同じくらい、世界的に見てもほぼ同じだそうです。決定的に違うところは生産性と流通です。流通はご存知の通り、商社や市場や販売店と何社も通過するのでそれぞれマージンを取れば高くなるのは当たり前ですし、作業経費も高いのでドイツの工務店が買う価格は立方3万弱。対してニッポンは倍の6万くらい。。。
倍も値段が違うのにじぇんじぇん儲からないから山にも入らない。。。悪循環だらけですね。
先の酪農家のミルクより木の方が儲かる話が一番わかりやすいですが、林業職は安定しているので銀行の融資も受けやすいそうです。
そして、びっくりしたのは“サスティナブル”という語源は17世紀、ドイツの森林管理の状況をあらわす言葉から持続可能という訳がついたというから、本当に素晴らしい取り組みですよね。
最後に池田さんは「ニッポンはどうすればいいですかね?」の質問に、「峻険な難しい山もあるけど、簡単な場所もたくさんあるので、まずはもっともっと戦略的に林業経営を考えてドイツのイイトコドリをしてニッポン流にアレンジして管理・育成していけばニッポンの森林は宝の宝庫に変わるだろう」と。
がんばろう!ニッポン林業!!
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